2024-01-01から1年間の記事一覧
最終回完結話 数日後、K.Tさんから電話がありました。 ひゃくさんじゅうごまんえんでお願いしたいと思います。私は、わかりました。私もそれぐらいで、と考えていたところです。と応えました。 5万円は誤差の範囲内です。驚くべきことに、私もK.Tさんも導き…
最終回⑥(~⑦完結話) 私がKさんに連絡を取ろうと思った数日前、Kさんは山林の売却を考えて下見に来られていました。 その日K.Tさんは、太陽光発電業者を連れて行こうか迷ったと言います。つまりK.Tさんは太陽光発電業者へ山林を貸すか、もしくは売却するか…
最終回⑤(~⑦完結) 私は電話の向こうにいるK.Tさんと、思想戦を闘う覚悟を決めました。K.Tさんは経営者として、山林と言う財産をいかに有効に活用するか、もっと言えば、損をしないで得をするか、そろばんを弾かれています。数店舗の経営ということなので、…
最終回④ 昭和の終わり、バブルの時代に都市部の土地が高騰し、その余波が農村まで及びました。それまで山林は集落の人で分け合って共同で手入れしていました。相続も、親族や集落の住民で行われていました。それがバブルの時代にお金を目的とした投機的な売…
最終回③(①~⑦) 2023年4月、穀雨がすぎて。 私は竹林の牛舎に向かう道の草刈りをしていました。おじの虐殺行為に深く傷ついていた私は、竹林の牛舎に助けを求めていました。毒のないところで静かに過ごしたい。偽らざる私の願いでした。すると目に四葉…
最終回② 野生の桃の原木を少し登った裏山の中程に、集落の御先祖が建てた祠(ほこら)があります。私は帰郷してまずこの祠を訪ねました。祠に続く道を通せんぼしている笹を刈り、祠の扉を開けて中を水拭きしました。そして中にあった元禄時代のものと思われ…
最終回①②③④⑤⑥⑦ ① 2023年3月末。 パソコンのブラウザが反応しなくなりました。8年目にして遂に寿命が尽きたのです。富士通のオペレーターさんも、Windows7から11までアップグレードして使用できていたことがこのパソコンでは奇跡、と驚かれほどの長…
第7話 Sちゃんの悲劇② ある時Sちゃんは言いました。「(農薬を)撒きとうて撒いとるわけじゃあない。」翻訳すると、撒かざるを得ないから撒いている、という意味です。また、こうも言いました。人生の楽園という番組について、「お金のある人がやることじゃ…
第7話 Sちゃんの悲劇 ①② ① その時から、川崎久美子包囲網がしだいに解除されてゆきました。私に合意してくれたわけではありませんが、門前払いはされなくなりました。ほとら刈りも広範囲にさせてもらえるようになりました。手入れを続けるうちに生態系が修…
第6話 メガソーラー男との闘い ② 私は光の出口を見つけたのです。この結論が私の運命を変えることになろうとは、知る由もありませんでした。 いかに難局を乗り越えるのか。私は冷や汗と逆毛を立てながら、たった一人でその闘いに挑んだのです。私は母に協力…
第6話 メガソーラー男との闘い ①② ① 2022年4月。 我が家に隣接する田んぼに見知らぬ男性がトラクターで田起こしに来ていました。私は様子がいつもと違うので近づいて男性に挨拶し、どうしたのですか、と尋ねました。男性は、この田んぼは自分が買った…
第5話 竹林の牛舎に住むと決める 暗黒期、盛夏。 私は生い茂る笹をよけ、身をよじりながら、母の背を頼りに進んでいました。行く先は、竹林の牛舎です。かつて私の大叔父が、町の助成事業を利用して立ち上げた牛飼い業。その廃屋となった牛舎の屋根が私の自…
第4話 痛みの始まり(後編) 化学物質過敏症(以下CS)を発症し、私はこの文明から放り出されました。よく言えば卒業です。しかし、受け入れ先があるわけではない。自前の文明をつくり直してゆくしかないのです。私たちの存在は気の毒に思われるのは良い方…
第3話 痛みの始まり(前編)② いつものように草刈りに出た私は、突然、クスリのような臭いに襲われ、息を吸っても吸っても空気がカラダに入らず、窒息状態になりました。何が起こったのかわからず、すぐに自宅に戻り横になりましたが、呼吸ができないほどの…