風の起こし方

はるか昔に滅んだ「労り一族」の子孫 『労り人 久巫こ』 のブログ

預金残高30万の私が、五千坪の山林を購入することができた、いきさつ第6話メガソーラー男との闘い②【全8話】

第6話 メガソーラー男との闘い ②

 

 私は光の出口を見つけたのです。この結論が私の運命を変えることになろうとは、知る由もありませんでした。

 いかに難局を乗り越えるのか。私は冷や汗と逆毛を立てながら、たった一人でその闘いに挑んだのです。私は母に協力を求めました。我が家最大の危機であること、土地代は私がもつが、〇万足らないので出してほしい。母はそんなもんそう簡単には建たん、と危機感なし。私は最終的なキーマンである母を全力で説得し、協力を得ることに成功しました。

 土地の購入というのは私にとって人生初の経験であり、大人の体験でありました。そして土地の地主になるということが、どれだけ大きな意味をもつことになるのか、私には予想すらできないことだったのです。
 男性に電話で購入の意向を伝えました。傍若無人な男性の態度が一転。ありがとうございます。丁寧にお礼を言われるのです。そしてその男性を仲介者として、上品な80代女性との売買契約が無事成立しました。その後男性は、資格のない私の協力者になってくれ、農業委員会からの許可取得に向けて大いに尽力してくれたのです。認定農家の協力を得られたことは、私にとって渡りに船で心強いことでした。後で分かったことですが、男性は大病を患っておられたようで、農業委員会への申請が無地終わって間もなく、長期入院されたようでした。法外な金額や手数料は、治療費を捻出するための男性なりの営業であったわけです。



 私は男性を助けることができ、良かったと思いました。と同時に、値引き交渉をしなくて良かった、とも思いました。ともあれ、私は晴れて田んぼの地主となったのです。私の預金残高はゼロになりました。しかし不思議です。私は豊かになった気がしてならなかったのです。それは味わったことのない感覚でした。そして私が農地を取得したという事実は、語らずとも百姓として生きてゆくことを宣言するものであり、何よりも私自身に、自立した百姓としての第一歩を踏み出したという自覚をもたらしてくれました。そしてその日から、私を取り囲む環境が大きく変化していったのです。

 

第7話 Sちゃんの悲劇①へつづく