風の起こし方

はるか昔に滅んだ「労り一族」の子孫 『労り人 久巫こ』 のブログ

預金残高30万の私が、五千坪の山林を購入することができた、いきさつ第3話(前編)①【全8話】

第3話 痛みの始まり(前編)①②

 その痛みはある夜から始まりました。

 2018年、春。
 寝床に入りカラダが弛みはじめると顎や頬骨の深部が酷く痛むのです。その痛みでとても寝入れず、悶絶の痛みに涙を流しながら、気が付いたら寝入っていた、そんな毎日を送っていました。朝目覚めると痛みは引いていました。が、一日、一生懸命働いて、夜ふとんの中で全ての緊張が弛んだ時、顎や顔の骨の深部が万力でつぶされるような痛みに襲われるのです。決まって夜、寝床の中、寝入る前でした。

 痛みは顔の片側に出たと思います。私は自己ヒーリングで痛みの深部にエネルギーを送り、静かに癒えるのを待ちました。

 当時の私は、環境テロに襲撃される難民の心境でした。いつ農薬が撒かれるか常に緊張しており、また撒布後は、土、草、虫の苦しみが自分事として感じられるため、酷く苦しみました。そしてそれ以上に私を追い詰めていたのが、母、悟慈羅文子(ごじらふみこ)との暮らしです。



 母は私が自然農を実践することに反対しました。私のすることがとても気に入らないのです。来年は耕運機で引いてやる!と何度も言われました。まともな土に戻すまで最低でも3年~5年かかります。土づくりをしている・・といくら説明しても、これまでと違ったものの考え方を受け入れてもらうことはできませんでした。

 しかし私の決心は固かったので、一歩も引かず、同居してしばらくは毎日のように言い争いをしていました。母とは分かり合えることはなく、ただ疲労困憊するだけでした。私は独立独歩型で、一人静かな時間が必要なタイプ。方や母も主導権は譲らないタイプ。母と娘ががっぷり四つに組んで、連日の大相撲に地響きを立てていました。

 私が学んだ自然農の提唱者、川口由一さんは、若くしてお父さんに先立たれ、農家を引き継がれたのですが、お母さんが自然農に最後まで反対されたそうです。川口さんは収穫ができるようになるまで何年も苦労されるわけですが、遂に農法を確立され充分な収穫を得られるようになっても、そんなことはやめてくれ!と言われたそうです。お母さんは息子さんが創造的な生き方をすることに同意できなかったのだろうと思います。自分の先祖、親族、集落の人々と同じことをしてほしかったのでしょう。

 「皆と同じことをする」というのがキーワードで、創造することよりも継承してゆくことの方を重んじられた集合無意識の中で、農村の人々は生き抜く術(すべ)を身につけていたのです。母、悟慈羅文子が、私の行動、思考を奇異に感じたのも無理のない話なのです。

 


 実家に戻ったとはいえ、私にとっては居場所の限られた移住生活。五畝の楽園と、二階の自室が気の休まる場所でした。そういった行き場のない孤独、精神の苦痛が、まさにそのままカラダにあらわれたのです。

 自覚症状からネットで調べると、口腔顔面痛という病名が出てきました。一冊本を取り寄せて読みましたが、一言でいえば、強度の心身のストレスによる精神疾患です。精神の苦痛がカラダに痛みとなってあらわれている疾患です。私は理解しました。向精神薬が効果があると書かれていたのですが、私はこれは違うと思ったので、痛むところを指圧したり、自己ヒーリングをしたりして、自分なりの治療を続けていました。しかし、良くなることはありませんでした。

 痛み発作は特に心身の疲労困憊したときにあらわれました。私がこの環境に身を置く以上、回復はないのか・・とあきらめていた時、ある出来事によって、気が付くと痛み発作が起きなくなってしまったのです。そのある出来事とは・・、秋の総会でのスピーチでした。



 高山集落の重鎮が一堂に会する総会、いわば集落の閣僚会議で、若輩者の私が空気を読まず正論を述べました。その三次元の布石が、私にとって大いなる突破となり、霊的にあたらしい段階に移行したのです。

 私は清々しい達成感を感じると同時に、必ず私のスピーチが実現化するという確信を持ちました。三次元の長老方の反応は、冷ややかなものでしたが、宇宙次元ではマスター方のYes、と鳴りやまない拍手が私の内なる耳にははっきりと聴こえていました。私という車体と、目の前にひかれたレールが、カチャっと連結して、揺さぶられても倒れない自分になった、という感覚でした。こうして私は、自分の行くべき道を三次元に堂々と宣言して、新たな出発をはかりました。その後、私の周りには包囲網が敷かれることになったわけですが、それと引き換えに私は、宇宙からの信頼という見方を得ることになりました。その充足感が私の精神に平安をもたらし、いつの間にか痛みの発作に襲われなくなったのです。

 しかし、痛みを克服した私に、さらなる試練が襲いかかるのです。
②へつづく